Sunday, January 10, 2010

ソフトウェア音源・Sculpture の巻(5)

これまでの Sculpture で音を作っていく過程を簡単に振り返ってみます(^ ^)

(1)弦の物理的な特性と、振動を伝える媒体(空気、水など)の特性を設定
(2)弦をはじく、叩く、こする等の振動と、振動の妨害の設定、
   さらに音を拾うピックアップの位置等を設定
(3)振幅(音量)エンベロープの設定
(4)WaveshaperとFilterによる音質の調整

今日はこの続きになりますが、ここからは「後処理」と呼ばれるものになります。
なんで「後処理」と呼ばれるのでしょうか・・・

■後処理とは

Sculpture では1本の弦を鳴らして生成される音を「ボイス」と呼んでいます。
例えばドミソという和音は3つのボイスで構成されることになります。

そして(1)から(4)全ての工程はこのボイス単位に行われるのです。

鍵盤をひとつ押してから離すまで、その動作毎に演算がおこなれて音が生成される
のですね。

これに対してディレイで始まる「後処理」はボイスの合成音、つまりドミソの和音で
あればその音の塊に対して演算処理が行われることになります。

「後処理」には、音を共鳴させる楽器のボディをエミュレートする処理もあります。
これなんかイメージし易いですね(^ ^)

■後処理に入る前にもう一つ

後処理まではボイス単位に音を演算して生成していくということですが、
その仕組みから従来型のシンセと違って「基本音色が常に流動的な状態にある」
のだそうです。

また難しい表現ですねぇ(笑

弦を鳴らして、その弦が振動している最中に、その弦を再度振動させる・・・
こんな場合、リアルな世界では高周波スペクトルが変化するのだそうです。
大雑把に言うと倍音に変化が出るということですかね。

Sculpture ではそこまでエミュレートしてくれるのです。

ということで基本音色が弦の状態に応じて常に変化するということになるわけですね。

こりゃCPUを沢山使うわけです(^ ^;

■ Delay

では、反響音をシミュレートする Delay(ディレイ)から見ていきましょう!
ON/OFFは、他と同じように「DELAY」のボタンをクリックします。



・Wet Level



ディレイで生成されたエフェクト音が Wet 信号、原音が Dry 信号と呼ばれています。
空間系のエフェクトでは、一般的にはWet と Dry をミックスして自然な空間の音を
作っていきます。

ということで、ここでは Wet 信号の割合を決めることになり、右に回すほど Wet に
なっていきます。

・Feedback/Xfeed



ディレイ信号を再度ディレイの入力にフィードバックする信号の量を調整します。
このフィードバックでディレイの反響音が持続的に繰り返されながらだんだんと
小さくなっていく自然な感じを再現します。

xfeed では、ステレオの左から出てきたディレイ音を右にフィードバックするそう
です。単純なモデルでは右は右、左は左でフィードバックしそうですが、もっと
複雑な反響モデルを表現するのでしょう。

例えば部屋の壁の反射音が反射を繰り返して左の音が右から聞こえてくるなんて
場合はこれにあたりそうですね。
そう考えると Feedback は少し量を多くして、Xfeed は量を少なくして反響音を
調整していくと、部屋っぽい空間ができるのでしょうか。

あと、マイナスはそれぞれ逆の位相になるようです。これも同じような話し
かもしれませんね。

・LoCut/HiCut



これは ディレイ信号に特化したフィルタですね。

ディレイの出力、フィードバックでのローパスフィルタ、ハイパスフィルタそれぞれの
カットオフ周波数を設定します。

例えば入力信号が持っている高い倍音成分が反響の都度失われていく・・・みたいな
ものを表現するのでしょう。

・Input Balance



ピンポンディレイといって反響音がステレオの左右から交互に出てくるような
効果を実現するとのことです。

ディレイの入力のステレオバランスを変えるということなので、Dry 信号はオリジナル
のステレオ定位で、Wet 信号がこの設定によってオリジナルと異なる定位に設定
できるということでしょうね。

・Delay Time / Sync



ディレイ信号が発生するまでのディレイ時間を設定します。

Sync をクリックして On状態(水色)にすると、Logic のテンポに同期してくれて
1/4 だったら4拍子の1拍ということで四分音符の長さということになります。
ご参考までに、1/4t という表記は3連、1/4d は符点を意味しています。

Sync を Off にすると ms(ミリ秒)の単位で時間を設定することができます。

・Output Width

  

これはステレオ(サラウンドの場合はサラウンド成分)の度合いを設定する
ものです。上の右の図のように設定すると、入力信号がステレオでも Wet信号は
モノラルになります。

・グループパッド

さぁ。ディレイ最後のパラメータです!
でもなんかややこしそう(^ ^;

と思ったら結構面白い。難しく考えるよりまず触って見るもんですね(^ ^)



・Speed

Y軸(縦軸)の Speed ですが、中央より上に菱形のマークをドラッグすると、
右チャネルのディレイ時間が長く、左チャネルのディレイ時間が短くなります。
その逆に中央より下にマークをドラッグすると左チャネルのディレイ時間が長く
なります。

これによって、左右のディレイ音にズレが生じて、空間の広がりを感じさせます。

実際の空間でも、音源と左右の壁などの反響板の距離が違えば、残響時間にズレは
生じますよね。

・Groove



X軸(横軸)のGooveでは、中央より右に菱形のマークをドラッグすると、
右チャネルのディレ時間が、画面に表示されるパーセント分だけ減るそうです。
この場合、Speed と異なり左チャネルには一切影響はありません。

マニュアルで例にあげられているのが、値が+50%であれば、右側の
ディレイ時間が半分になって、1/4 のディレイ時間であれば1/8になって
左側の4分音符に対して右側は8分音符となるということです。

これを使って残響音でリズミカルな効果を作ることができるわけです。

是非、ディレイ時間を1/4程度の長めにとって、Wet Level を上げて、
さらに Feedbackの量も増やして、このグルーブパッドを試してみてください(^ ^)

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次回は Body EQ です。

これは音を共鳴させる楽器のボディをエミュレートするためのパラメータだそうです。
面白そうですね(^ ^)

ではまた!

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