Monday, December 14, 2009

ソフトウェア音源・Sculpture の巻(3)

ソフトウェア音源・Sculpture の巻(1)では弦の物理的な特性の設定を、
ソフトウェア音源・Sculpture の巻(2)
では弦を振動させたり、振動を妨害する
オブジェクトと、弦の音を拾うピックアップを見てきました。


今回はピックアップで音を拾ったあとに最初に通る振幅エンベロープを見て
いきましょう(^ ^)

■振幅エンベロープ

振幅ですから音量の変化を決定するエンベロープを設定することになりますね。

下のA・D・S・R の縦のスライダーがエンベロープの設定パラメータになります。
今時のシンセとしてはシンプルなエンベロープですよね。



またまた es-e や EFM1 に出てきた ADSR エンベロープのおさらいです。


 A: Attack Time・・・鍵盤を押してから最大レベルまで到達する時間
 D: Decay Time・・・Sで設定される持続レベルに至るまでの時間
 S: Sustain Level・・・鍵盤を押している間のレベル
 R: Release Time・・・鍵盤を離してからレベルがゼロになるまでの時間

・Attack

変わったスライダですね。スライダが上と下に分割できてしまいます。


なるほど・・・

上の方が最大ベロシティ、つまり鍵盤を強く叩いた時の、音が立ち上るまでの時間
ということで、下の方が最小ベロシティで、鍵盤を弱く叩い時の音の立ち上がり時間
を設定できるのですね。

確かに息で鳴らす金管楽器とかを考えると大きな音の方が、最高音量までにたどり
着くまでに時間がかかりますよね。

ちなみに、上の方が Long と書いてありますから、音が立ち上がるまでの時間が
長いということを意味していますね。

・Decay

これは Attack と違って普通のスライダですね。

これも時間なので、上が Long ということで、サステイン(持続音)のレベルまで
到達するのにかかる時間が上の方ほど長くなります。

・Sustain

今度は音量のレベルですので、上がフルの音量で下がゼロとなっています。
一番上の位置で、鍵盤を押している間の音量が、マスター音量のレベルと同じという
ことですね。

・Release

鍵盤を離してから音が消えるまでの時間です。今度は上の位置が Long、すなわち
音をが消えるまでの時間が長くなるということになります。

■振幅エンベロープのサンプル

実際のプリセットを少し覗いてみましょう。

・パッド系


鍵盤を押すと柔らかく音が立ち上がって、Max まで音量が上がったあとにゆっくりと、
少しだけ音量を落としたサステインレベルに到達して、鍵盤を離すまでその音量を
保って、鍵盤を離すとゆっくりと音が消えていく・・みたいな感じですね。

・ベル系


顕著なのは、「カーン」みたいなアタックの立ち上がりの鋭さですね。
サステインレベルはマックスなのですが、鍵盤を押してても音が小さくなって
いきました。これは弦の物理属性の Inner Loss や 外部の Media Loss も影響して
いるからですね。エンベロープだけで音量の変化が決まるわけではないのです。

・マレット系


ばちで叩く鍵盤打楽器系です。ビブラフォンとか木琴とか・・・
これは Jamaican Mallets というプリセットですが、アタックは強くて、鍵盤を押して
いると音量がゼロになります。
鍵盤を押してからすぐ(ディケイの時間より短く)離すと、サステインレベルのゼロに
ならずに、リリースタイムに合わせて徐々に音量が小さくなるということになります。
この設定の Inner Loss は小さく、減衰が弱くなっているので、このような変化に
なりますが、Inner Loss を大きくするとすぐに鍵盤を離しても音量はゼロになって
しまったりします。

物理的な変化と、電気的な変化の両方を意識しないといけないので、結構複雑です(^ ^;

■ Spread

今日の最後は、エンベロープの右側にある Spread です。


実は、これピックアップのパラメータだったんですね(^ ^;
こんな離れたところに・・・
デザイン的な都合だったのでしょう。

使い方がちょっと変わっています。

・Pickup

これは、ステレオの広がり具合を設定するところになります。

Pickup と書かれている円の下半分をクリックしたまま、上下にドラックすると
水色の点が移動します。

上にドラッグすると L と R に点が別れて、下にドラッグすると点が上に移動して
センターで重なります。つまり上にドラッグすると左右に音が広がり、下にドラッグ
するとセンターに近寄って最後にはモノラルになるという感じです

・Key

これは、鍵盤の位置に合わせて音が左や右にパンされる度合いを設定します。
ピアノのように、鍵盤の高音部は右側の方から音が聞こえて、低音部は左側から
聞こえるというものを再現するものですね。

今度は Key と書かれている円の上半分をクリックしたまま、上下にドラッグすると
水色の点にかかる形で弧に沿った線の長さが変わります。
上にドラッグすると長くなって、パンの度合いが強く、下にドラッグする短くなって
パンの度合いが弱くなります。

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次回は振幅エンベロープを通った音が向かう次の回路「Waveshaper」です。

ではまた!

2 comments:

  1. 初めまして。
    Logic Pro について検索していたらここに辿り着いて拝見させて頂きました。
    とても興味深い記事が沢山あって面白かったです!
    これからも楽しみにしてます!

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  2. テンドウさん、初めまして。
    記事読んで頂いてありがとうございます!
    ご参考にして頂けて嬉しい限りです。
    うーん頑張らねば(^ ^;
    これからもどうぞ応援宜しくお願いします!

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