Saturday, December 5, 2009

ソフトウェア音源・Sculpture の巻(2)

ソフトウェア音源・Sculpture の巻(1)では弦の物理的な特性をどのように
設定できるか見てきました。

色々な設定がありましたが、大きなポイントは弦内部の減衰の度合いと物質の硬さで
弦の素材を変化させるというところでしょうかね。

今回は、その弦に力を加えて音を鳴らす部分に注目しましょう。
またまた面白い機能があるようですよ(^ ^)

■準備

 音の変化を確認しやすくするように、まだ使っていない
 効果をオフにしてしまうことにしました。
 Material リングの周りにある以下のボタンをクリックして
 水色からグレーに変わったらオフになったことになります。

 ・Waveshaper
 ・Delay、  
 ・BodyEQ
 ・Filter


■ピックアップディスプレイ



真ん中の緑の線が「弦」の全体、弦の端から端までが表示されている状態です。

・オブジェクト

左端に「1」というタグが見えますが、これが弦を振動させるオブジェクトになります。
オブジェクトというとちょっと仰々しいですが、弦をはじいたり、弦をたたいたりする
物体のようなものでしょうか。

「1」のポジションが、弦のどの場所で鳴らす行為をするかということを示していて、
この場合であれば、左の端の方で鳴らすということになるわけですね。

弦にかかっているオレンジ色の楕円形についてはまた後で詳しく見ていきたいと思います。

次の「2」ですが、今度は上と下に「2」というタグがついています。
この物体には弦を振動させる物体だけではなく、弦の振動を妨害するというタイプの
物体にもなることができます。多分「2」は「1」と異なり、そのどちらにもなり得る
ことから上下にタグあるのでしょうね。

何かの固まりを弦の上に置くような行為も妨害の1例になります。

「3」は下にだけタグがあります。
つまり妨害のためだけの物体になるわけですね。

これら3つの物体(オブジェクト)は物体の種類、オン/オフ、強弱を設定できる
ようになっています。後ほどこれも見ていきますね。

・ピックアップ

次に右側に透明な釣り鐘状の物体がありますが、これは音を拾うピックアップ
だそうです。エレキギターのピックアップと同じですね。

弦のどこにピックアップを置くかによって音が変わってきますので、動かしながら
音の変化を確認してみると面白いです。
中央部分におくと音が太くなるように思いますが、オブジェクトとの位置関係でも
音が大きく変化しますので、試行錯誤のしがいがあります・・・(^ ^;

■オブジェクトの設定(励起)

続いて具体的なオブジェクトの設定についてチェックしたいと思います。



左側の水色の「1」のボタンは、このオブジェクトの ON/OFF になります。
水色で押された状態が ON です。

・Type

 まずチェックすべきは右側中央の「Type」ですね。
 クリックするとプルダウンメニューが出てきます。

 弦を振動させることをマニュアルでは「励起」と呼んでいて、
 全部で8通りの励起の方法を選ぶことができます。

 例えば、Impulse は短い時間の衝撃を与えるということ
 だったり、 Stike であれば打楽器のような打つという動作、
Bow では弦を弓で弾く動作、Blow のように弦を管に見立てて息を吹き込むことも
できます。

2と3のオブジェクトをOFF にして、1だけで実際に試してみると良いと思いますが、
タイプによって音は大きく変化しますよ。ただ、切り替えに少し時間がかかるので、
ので選択してからひと呼吸待つと良いですね(^ ^)

続いて他の設定をみてみましょう。



・Gate

鍵盤の動作と、弦を振動(妨害)させる動作の関連付けになります。

Keyon であれば鍵盤がおされてから離れるまで弾いていることになります。
Always であれば鍵盤が離れた後も、音が消えるまで弾き続けています。
Keyoff では鍵盤が押されている時は何もせず、離れた時に弾くことになります。

なるほど・・・

1で鍵盤が押されたときの音、2で鍵盤が離れた時の音 みたいなことができて、
チェンバロみたいな音も再現できるのでしょうね。なので2つオブジェクトがあるのかな。

・Strength(強度コントロール)

真ん中の大きなつまみで、強さを調整します。
マニュアルにはオブジェクトタイプ毎に 強度コントロールが何を意味するのかが書かれて
いますので、是非一度チェックしてみてください。

例えば、Blow(吹く)だったら「唇の開き具合」ですって。
きっと音量の大小だけではなくて、それぞれのタイプごとの細かなエミュレーションが
あるのでしょうね(^ ^)

ちなみに、ピックアップディスプレイの「1」のタグの下、弦の上にあるオレンジ色
の楕円は、このStrength に応じてビジュアルに濃さが変化します。

・Timbre(音色コントロール)

ハンマーだったらハンマーの質量で、弓だったら圧力、吹くだったら息を吹き込む力
をコントロールするんですって。
力が強く掛かることによって、倍音成分が増えて音が明るくなるということなのでしょう。

なんかオブジェクトの変化を想像しながら触っていると楽しいですね(^ ^)

・Variation(バリエーションコントロール)

これはちょっと難しいですが、オブジェクトのモデルにひと味加えるようなイメージ
でしょうかね。
例えば Pick はピックで弾くということですが、ピックの硬さを Hard や Medium の
ように変えたり、Blow ではノイズの量だったり、 Strike であったらフェルトの硬さ
だったり・・・
オブジェクトに他の要素も加えてモデリングすることで、音色の幅を広げることが
できるのですね。
これもマニュアルの一覧を是非チェック下さい。

・VeloSens(ベロシティ感度)

やっと普通のパラメータです(^ ^;
鍵盤の押す強さで音量変化させる感度をコントロールすることができます。

1のオブジェクトはこんなところですね

■オブジェクトの設定(妨害)

次は「3」の妨害するオブジェクトを見てみましょう。



ぱっと見てほとんど「1」と一緒ですが、VeloSens がないですね。
確かに弦を弾くというオブジェクトは鍵盤と連動していますが、妨害オブジェクトは
それとは無関係に「そこにある」ということですね。

これもやっぱり Type から見ていきましょう。どんな妨害ができるのか(^ ^;

 6つのタイプがあるようです。

 例えば Disturb 2-sided のように弦の上にリングを置くような
 妨害や、弦から少し離れたところに置いて振幅を妨害する
 Bound、ダンパーの効果を出すDamp、Bouncing のように
 固定しない妨害物が弦の振動に合わせてバウンドして
 ユニークな効果を出すものがあります。

これらも「1」と同様に、Strength(強度コントロール)、Timbre(音色コントロール)
Variation(バリエーションコントロール)で、それぞれのオブジェクト独自の音色変化を
もたらすことができます。

・「2」について

「2」については、励起/妨害どちらにもなりえるオブジェクトで、どちらをTypeに
選択したかによって、設定内容が変わりますが、それ以外は「1」や「3」と全く
同じです。

■ピックアップ

今日の最後にピックアップディスプレイの左下にある Invert というボタンを
試してみます。



Invert をクリックして、ボタンの上部に水色の線が表示さるとOn になったことを
意味します。

 名前のとおり、上のピックアップA に対して下のピックアップB
 の位相を反転するということのようです。

 一部音を打ち消し合うようになることで音の厚みが無くなると
 マニュアルには書かれています。

 左のようなピックアップの釣り鐘状の部分が重なり合うケースでは、
 ピックアップした音が干渉し合って、音に変化が出ますが
 Invert になっていると、まさに打ち消し合って音の厚みが無くなり
 ます。

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励起と妨害、それだけのことですが、そのオブジェクトの種類とパラメータの設定、
それから弦のどの位置でそれを発生させるかで音が劇的に変化します。

普通のシンセでは簡単に出せないような音が作れて飽きませんが、期待通りの音を
作ろうとするのもまた難しそうですね。

とにかく遊び感覚で触るのが一番ということでしょうか(^ ^)

さぁ次回はピックアップで拾った音に色々なフィルタをかけて、さらに音に磨きを
かけていきましょう!

ではまた(^ ^)

→ ソフトウェア音源・Sculpture の巻(3) <執筆中>

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